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英文多読通信2号

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年3月1日更新

ORT(Oxford Reading Tree)から始めよう

 蒲郡市立図書館に英文多読コーナーが設けられて10ヶ月が経過しました。すでに、このコーナーを活用され、英文多読を続けている方も多いと思いますが、本報では、新学期を迎えて、新たに英文多読を始めようかとお考えの方に、始めの一歩を紹介します。

1.オックスフォード・リーディング・ツリー(Oxford Reading Tree)とは?

 蒲郡図書館には、Oxford Reading Tree (ORTと略称*1)が、最もやさしいStage 1(YL0.0*2)からStage 9(YL1.0)まで揃っています。英国小学校の授業で使われているシリーズで、主人公一家の日常から子供達の冒険へと発展するストーリー展開と、きれいなイラストで人気があります。Stage 1からStage 3では、英文も1冊100語以下と、絵本の雰囲気ですが、ここで登場人物になじんでおくと、Stage 4以降に親しみが持てます。

 英語から遠ざかっていた人は、ぜひ、Stage 1から読みましょう。英単語や英文を探すのではなく、イラストをじっくり見て、物語の世界に入り込むことがよいと思います。

英語に自信のある人は、Stage 4 の「1 House For Sale」から「6 The Storm」を通しで読んでみましょう。主人公一家が新しい家に引越し、子供達が魔法のマジック・キー(Magic Key)を発見します。Stage 5の「1 The Magic Key」で、いよいよ子供達の冒険旅行が始まります。Stage 7からは1冊あたりの語数も増え(900から1500語)、外国人学習者向けのGraded Readers (GR)へと移行することも出来ます。

豊田高専の英文多読授業では、平均的な学生に、最初の半年に、YL0.0から1.0の本で累積10万語程度を読み、その後半年に、やさしいGR(YL0.8から1.8)で、累積20万語まで読むよう指導しています。

2.英文多読のコツ

1)辞書を引かない
2)わからないところは飛ばす
3)進まなくなったらやめる

「多読三原則」は、従来の英語教授法と反対ですが、英文読書を楽しく継続するための秘訣です。その意味は、

1)日本語を気にせず、英文から直接内容を理解するようにならないと読書は楽しめません。知らない単語も挿絵や話の流れから、だいたい分かれば読書は楽しめます。辞書を引いても文脈に合った意味は分からないことが多く、辞書引きによる読書の中断は楽しみを邪魔します。
2)「印籠」の定義、「副将軍」の役割は分からなくても、水戸黄門は楽しめます。また、シリーズ物を読むと、何度も出会う語句、表現の意味が、自然に分かる感覚を、早期に実体験できます。
3)進まないのは、難しい本、合わない本を選んだからです。最後まで読もうとせず、次の本(もっとやさしい本、趣味の合う本、おもしろいと思える本)を手に取りましょう。そのために、図書館の英文多読コーナーには、豊富な本が揃えてあります。この恵まれた環境を活用しましょう。

3.100万語英文多読の参考図書

読む本を選ぶのに、役に立つのは、

1)「今日から読みます英語100万語!」古川&河手、日本実業出版社
2)「親子で始める英語100万語!」古川&伊藤、日本実業出版社
3)「英語多読完全ブックガイド」古川他、コスモピア
4)「ミステリではじめる英語100万語」酒井&佐藤、コスモピア

読書を開始、継続するのに役に立つのは、

5)「100万語多読入門」古川昭夫、コスモピア
6)「読書記録手帳」SSS英語学習法研究会、コスモピア (記録をつけると励みになります)

100万語多読の考え方・仕組みを知るには、

7)「快読100万語!ペーパーバックへの道」酒井邦秀、ちくま学芸文庫
8)「どうして英語が使えない?」酒井邦秀、ちくま学芸文庫

英語教育に興味のある方には

9)「教室で読む英語100万語!」酒井&神田、大修館書店 が参考になるでしょう。また、
10)SSS英語学習会のホームページ(http://www.seg.co.jp/sss/)は情報の宝庫です。

4.豊田高専の英文多読授業は、うまくいっているのか?

 豊田高専*3電気・電子システム工学科は、NHKロボットコンテスト全国大会への連続出場で知られるように、創造的な技術者育成では実績がありますが、英語教育では悩んでいました。グローバル化した現代社会では、技術者が直接英語でコミュニケーションする必要に迫られますが、従来は卒業生の英語運用能力も低く、在学生は英語への苦手意識が強かったからです。
 ところが、H14年10月に本科5年生で英文多読授業を始めたところ、「これなら読める」、「楽しい」と大好評で、H16年度からは、本科2年から専攻科2年の計6学年で、英文多読授業を継続できるよう体制を整えました。
 2年間の多読授業を受講した学生127名は、平均30から40万語の英文を読み、多くは、高校1年のリーダー程度の(初見)英文を、日本語に翻訳せずに読めるようになりました。TOEIC平均点も403点まで上昇し(同世代の高校3年、文系を含めた大学1年平均より高い)、弱点克服から、国際的に活躍できる技術者の輩出へと、転換できました。
 この間、8名の学生は100万語以上を読み、300から500万語読んだ学生は、英語圏への交換留学経験者(各学年に1から2割居ますので、比較できます)と同等の英語力を身につけています。留学に行かず、英会話学校に通わずに、英語は身につくことを実証できると、今後を楽しみにしています。
*1略号:100万語英文多読法では、本のシリーズを示すのに、よく4文字の略号を使います。例えば、Oxford Reading Tree Stage 5 は、ORT5 と呼ばれます。
*2YL(読みやすさレベルの略称):100万語英文多読法では、読みやすさを、最も易しいYL0.0から、一般のペーパーバック:YL7.0から9.0までの数値で表しています。
*3豊田高専は、中学卒業後に入学、本科5年+専攻科2年からなる国立の高等教育機関です。本科卒業生は、有利な就職、専攻科進学、国立大学(3年次)編入を自由に選択でき、専攻科修了生は、工学士(JABEE認定)となります。

文責: 蒲郡市立図書館英文多読相談員(豊田高専 電気・電子システム工学科教授) 西澤 一