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英文多読通信4号

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年3月1日更新

児童書の楽しみ

 GR(Graded Readers)を読み、英文多読に慣れた方、例えば、英文通信#3 でご紹介したOBW2 を楽しんで読めるようになったと感じられた方は、Native の子供向けに書かれた児童書も読んでみてはいかがでしょう。本報では、蒲郡図書館の英文多読コーナーの児童書を中心に、その楽しみ方を紹介したいと思います。

1.児童書とは?


 外国人英語学習者向けに、語彙、文法、文の長さを制限して書かれたGR と異なり、Native の子供向けに書かれた児童書は、同じYL(よみやすさレベル)の本でも、GR より難しいと感じるのが普通です。子供とはいえ、Native 向けのお話しですから、知らない単語、表現がどんどん出てきます。擬音語や造語も豊富で、容赦ありません。「読み飛ばし:多読三原則の(2)分からないところはとばす」のスキルを身に付けているかどうか問われることになります。

(レベル0)

 読みやすく、また、ほのぼのとした雰囲気が大人にも人気のある作家としてレベル0から2の作品で、圧倒的な存在感を示すCynthia Rylantの作品群。Native向けという意識をせずに読めます。
・ Henry and Mudgeシリーズ(RTR2、YL0.7から1.4、460から1200 語、20 巻以上あり)
男の子Henryと大きな犬Mudgeの日常を描いた作品。HenryとMudgeの出会いを描いた第1巻:”Henry and Mudge, The First Book”以降は、順番にこだわらずに読めます。
・ Poppletonシリーズ(YL1.2, 約700 語、7 巻あり)
都会生まれのブタさんPoppleton 君は、小さな町に越してきました。隣家のCherry Sue を始め、近所の人々(動物)との交流をはじめます。おとぼけ系。憎めない性格が魅力です。

(レベル1)

 児童書(Native 向け)の入門書として位置づけられます。クセが強いので読みにくいと感じたら、GR のレベル2から3を先に読む方が良いかもしれません。
・Nate the Great シリーズ(YL1.2から1.5, 1500から2500 語、約20 巻)
邦訳:「ぼくは名探偵」で知られる古典的作品。プロの探偵を気取るNate 少年、名犬Sludge の助力を得て、難(?)事件を次々に解決します。

(レベル2)

 本格的な児童書は、このレベルから。比較的長いシリーズものは、第1巻で得た背景知識(登場人物、住環境等)が生きるので、2 巻目以降が読みやすくなります。お気に入りのシリーズが一つみつかれば、しめたものです。飽きるまで読んでみましょう。
・Jigsaw Jones Mystery シリーズ(YL2.0, 5500から6500 語、約20 巻)
同じ少年探偵ものながら、Nate the Grate に比べると、ストーリー展開や表現のクセは弱く、GR とのギャップを感じ難い作品。
・Cam Jansen シリーズ(YL2.0, 4800から5500 語、約20 巻)
カメラのような抜群の記憶力を持つ少女が友人Eric と事件を解決します。本文の理解を助けるとは言え、挿絵の品質には期待しないでください。
・Magic Tree House シリーズ(YL2.5, 4800から6000 語、28 巻まで)
Jack とAnny の兄妹が、魔法のTree House に乗り時空を超えて冒険に出かけます。本の虫Jackと想像力豊かな行動派Anny の組合せが絶妙で、子供から大人まで楽しめます。4 冊毎に謎解きをする小シリーズになっており、順番に読むのがよいと思います。個人的には、米国の歴史とからむ17 巻以降の作品が気に入っています。また、(蒲郡図書館にはありませんが、)朗読CD も人気があります。日本語翻訳も出ています。
・The Zack files シリーズ(YL2.5, 5000から7000 語、全30 巻)
毎回不思議な(超常)現象に巻き込まれてしまう少年Zack。冷静な父親、賢い親友、ミステリアスな先生にも助けられ、深刻さを感じさせないストーリーは、大人にも好まれるのでは?言葉遊びや俗語等、細かいところに引っかからない(飛ばせる)ことが大切。どの巻から読んでも問題なし。同一作者のMAXimum Boy シリーズ(YL3.0, 8600から12000、全8 巻)も、オトボケ・パロディ風の作品で、おもしろいのだけれど、第4, 6 巻が入手困難なため抜けているのが残念。
・Marvin Redpost シリーズ(YL2.5, 4600から8000 語、全8 巻)
Holes で有名なL. Sachar 作の児童小説。背景に流れる主人公の苦悩がストーリーに深みを与えているためか、大人に人気のあるシリーズ。Sachar ファン必読。特に第4巻は泣けます。

(レベル3)

・A to Z Mysteries シリーズ(YL3.0, 6500から10000 語、全26 巻中16 巻まであり)3 人組が協力して事件を解決します。話の展開が速く、一気に読めてしまうのはミステリの特長?後の巻で、前巻のネタバレになっているところもあるので、アルファベット順に読むのがよい。
・Baby-Sitters Little Sister シリーズ(YL3.0, 10000から13000 語、全100 巻以上のシリーズのうち1から39 巻あり)Baby-Sitters Club シリーズ(YL4.0、100 巻以上あり)の妹編で、市民の方からの寄付本です(おかげで、従来不足していたレベル3から4の蔵書が一気に充実しました)。
・Roald Dahl の作品群(YL2.0: The Enormous Crocodile, YL3.0: The Magic Finger; The Giraffand the Perry and Me; Fantastic Mr. Fox)
児童小説家として有名なDahlの作品も、もっともやさしいものは、このレベルからです。QuentinBlake の挿絵も魅力的で、Dahl の世界を楽しめるでしょう。

2.多読の効果を、留学経験と比べると?

 豊田高専では、毎年20 人程度以上の学生が英語圏に留学しますので、彼等との比較から、多読の効果を確認することができます。昨年までに100 万語以上読んだ学生15 人と留学経験者24 人(AFS等で英語圏へ1年間留学した学生)を比べると、おおよそ、
 200から300 万語 平均的な英語圏への留学生(1年間)と同程度、TOEIC600 点程度
YL4から5 の児童書(Lily Quench, Darren Shan, Deltora Quest, Series of UnfortunateEvents 等)を読める、

 300から500 万語 平均的な英語圏への留学生(1年間)より読める、TOEIC700 点以上

YL6から7 以上の児童書(Harry Potter クラス)、大衆小説(Sydney Sheldon)を楽しめる、

ようであり、数百万語の多読は、高校留学に匹敵する効果があることが明らかになりつつあります。

文責: 蒲郡市立図書館英文多読相談員(豊田高専電気・電子システム工学科教授) 西澤一