オモシロい人見つけました（１）児玉真伍さん

僕は「土の人」になってこの街を支えたい。「風の人」がいつでも帰って来られるように。

児玉 真伍さん (ミカワアートセンター)

学生時代の部活は剣道部。大学も総合大学に進みアートとは無縁の人生だったが、いつも心のどこかで「何かを表現したい」という気持ちとアーティストへの憧れがあった。2013 年に行われた「あいちトリエンナーレ」で出会ったアーティストの影響を受けてMikawa Art Center(ミカワアートセンター)を設立。地元蒲郡でアートを身近に感じられる場所づくりやアートをきっかけに人と人とがつながり合うための様々な活動に取り組んでいる。

はじまり

はじまりはこの一言

活動のきっかけは、学生時代に作品制作を手伝っていたアーティストからの一言。各地で作品制作の手伝いをしていましたが、芸術大学に行かなかった自分には表現活動ができないと思っていました。思い切って「僕もアーティストになりたかった」と伝えてみました。するとその方は「なっちゃえばいいじゃないか」と。簡単な言葉に聞こえるかもしれませんが、憧れの方に言っていただいたことで「自分もなっていいんだ」と思えました。

蒲郡市が大好きだから

蒲郡市にMAC を置いた理由は、生まれ育った場所なのにアートに触れて感じる場所が少なかったから。固定概念にとらわれず自由に表現できる場所を創りたいと思いました。僕は生まれ育った蒲郡市が大好きです。だから蒲郡を出た人や自分の行き場所を探す「風の人」と呼ばれる人が、いつでも帰って来られる環境を作りたい。僕は「土の人」として、これからも蒲郡で活動しようと思ってます。

拠点を置かず MAC を設立

「MAC」の由来は山口県の「Maemachi Art Center(マエマチアートセンター)」。山口市の文化施設で働くスタッフやアーティストが共同生活している場所で、「M とA とC が頭文字につくアートセンターを全国に」という取り組みに賛同しました。2016 年 2 月、日常に新たな「感動」や「発見」、「面白さ」が表現できる場所として、「Mikawa Art Center」(通称:MAC)を立ち上げました。

いま

さまざまな実験ができる拠点を作ろう

MAC を立ち上げてすぐの 2016 年夏に、あいちトリエンナーレに参加しました。バスツアーを企画したり MAP を創ったりしたのですが、蒲郡市に住んでいる方の参加はわずか。まだまだこれからだと思いました。それで、少しずつでも実験的な試みをしていきたいと思い、2019 年に故郷である蒲郡市にMAC としての拠点を置きました。プライベートとパブリックが混ざり合う緩やかな場所を意識しました。

　
1 階に MAC、2 階は児玉さんの住居。 パブリックとプライベートがゆるやかに繋がるこの建物は元和菓子屋。 玄関横の「餅」の文字はその名残だ。

ひとりでは無理だった

ある日突然舞い込んできた「地域のイベントでお化け屋敷を作ってほしい」という依頼。これには「さて、どうすればいいんだ ?」と頭を抱えました。このような状態の中で助けてくれたのは大学時代の仲間。僕の未熟な部分をサポートしてくれました。子どもの扱いに慣れている人がいたり技術面でサポートしてくれる人がいたりと、まさに適材適所。このプロジェクトを皆で諦めずにやり遂げられた達成感は大きかったです。

どんな人でも輝ける場所へ

どんな人でも輝ける場所を作ることが使命だと思っています。このように思えたのは名古屋で参加したプロジェクト型の作品で目の当たりにした市民の協働から。この作品は市民と作り上げるもので、それぞれの出身や年齢関係なく、集まった皆が個性を活かしてキラキラと輝いていました。このように多様性を認めてアートとして表現し、それに関わった人が幸せになれるような場所を作りたいと思いました。

これから

蒲郡市に住んでいる人にお勧めしたい本

 大橋裕之先生の『遠浅の部屋』。親に「プロボクサーになる」と嘘をついて蒲郡市の実家を飛び出し、こっそりと漫画家を目指していた先生の 18 から19 歳当時を描いた自伝漫画。随所に出てくる先生の蒲郡愛が面白いです。

蒲郡市の良さを全国へ

まずは蒲郡市民に興味を持ってもらえる仕組みづくりから。展覧会などを開いて、固定概念にとらわれずチャレンジし続けます。蒲郡市は日当たりも良く海もあり山もある。とっても環境がいいんです。このような蒲郡市の良さを全国にも発信していきたい。

ワクワクする仕掛けを作りたい

蒲郡市に MAC を置いてから少しずつ人の輪は広がっています。今まで関わってきた方が気軽に足を運んでくれるようになったのは嬉しい限りです。これからもワクワクできる仕掛け作りをしていきたい。蒲郡駅前の地下街とか楽しそうでしょ？

　
ある日のMACの様子。プロジェクトに向けて「何ができる ? 」「どうやったらできる ? 」と 話し合うこともあれば、ただ鍋を囲んで談笑する日も。

「やる」と決めたらきっかけは身近にあるかも

「やる」と決めたらまずは身近なところから話せる人を見つけてみてください。それは僕でも構いません。僕も大学時代から地道な活動を続けたことで、たくさん人に巡り会えました。成功するまでやり続ければ、それは失敗ではありません。

一緒に励まし合える仲間募集

お互いに「やりたいね」や「いっしょにやろうよ」が言えるような仲間募集中。一人で考えるより二人、二人で考えるより三人の方が大きな力になります。相互に助け合い、励まし合えるような仲間が増えれば心強いです。面白いものを一緒に創りましょう。