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蒲郡市立図書館の英文多読図書コーナーが開設して3年、同コーナーを利用して多読を始められる方も少しずつ増えているようです。最近は女性向けファッション雑誌でも多読が取り上げられるようになり、新しく多読を始められる方もみえると思いますので、蒲郡市立図書館の本を用いて100万語読破を目指すべく、読書語数を目安にした図書ガイドをまとめてみます。
多読の成功の秘訣は「やさしい英文」を「たくさん読む」ことに尽きます。1時間、2時間と英文小説を読み続け、しかも読書を楽しむには、日本語に翻訳せず英文のまま理解することが不可欠ですが、翻訳しないためには、かなりやさしい英文を選ぶ必要があります。特に、学校英語教育の経験が長い人は、頭の中から日本語を消すために、かなりの量の英文を読む必要があるようです。
自分の中に、英語で考える子供を育てるつもりで、やさしい絵本から始めてみましょう。
・Oxford Reading Tree(ORT1から9、YL*0.0から1.0、0から1500語、全230巻、約7万語弱) 英国小学校で使われているシリーズで、主人公一家の日常から子供達の冒険へと発展するストーリー展開と、きれいなイラストで人気があります。・ Henry and Mudgeシリーズ(RTR2、YL0.7から1.4、460から1200語、22巻、全1万6千語) 男の子Henryと大きな犬Mudgeの日常を描いた作品。著者Cynthia Rylantの作品は、心温まるお話しが多く、多読を始めた大人の読者にも人気があります。・ I Can Readシリーズ・レベル1まで(ICR0から1、YL0.4から1.2, 85から2100語、68巻、全3万8千語) ICR0:子犬のBiscuitシリーズは、かわいらしい。名作のLittle BearシリーズはYL1.2の作品がある等、上記2シリーズに比べるとバラつきが大きい。
ORTとHenry and Mudgeシリーズを主に(できれば全巻)、ICR0から1を補助として、まずは10万語読みましょう。薄い本ばかりなので、図書館の多読コーナーで集中して読むのが効率的です。
・ Penguin Readers(PGR0: YL0.8, 900語)と(PGR1: YL1.0から1.4, 700から4800語) 文字が小さく、一見読みにくそうですが、読んでみると英文はORT9よりもやさしいことが分かります。薄く短いので、どんどん読めるでしょう。・ Oxford Bookworms Starters(OBW0: YL0.8から1.0, 700から1500語) 黒い表紙で10代の学生に人気のシリーズ。ただし、マンガ形式、RGP (Role Playing Game)形式の作品は、好き嫌いがハッキリ分かれます。一冊読んでみて合わないと思ったら止めましょう。・ Macmillan Readers(MMR1: YL0.8, 500から900語)と(MMR2: YL1.2, 1600から3500語) MMR1はGR(Graded Readers)で最も短い。MMR2は表紙が派手な作品が意外に面白い。・ Cambridge English Readers(CER1: YL1.4, 1900から2600語) 起承転結がハッキリしており、大人の読者も、ようやく小説らしい本が読めたと満足できる。・ Macmillan Readers(MMR2+: YL1.6から1.8, 5,400から12,000語) 古典の簡約版、長いがやさしい英文で読みやすい。OBW1(YL2.0)を読む前に読んでみましょう。
「英語多読完全ブックガイド」も参考に、評判の高い作品を中心に、好みの本を借りて読みましょう。
・ Oxford Bookworms Stage 1(OBW1, YL2.0から2.2, 4,700から7,300語) 1冊読み通すのに約1時間。このシリーズを楽しめれば、日本語に翻訳しない多読の読み方を体得しつつあると言って良いでしょう。古典や有名作品の簡約版もありますので、親しみを感じるタイトルから順に読んでみましょう。・ Penguin Readers Level 2(PGR2, YL2.2から2.4, 2,400から11,000語) 豊富な作品群です。古典、映画の簡約版は、圧縮しすぎで筋が分かりにくい場合もあります。知っている作品、観たことのある作品を中心に読むのがよいでしょう。・ Nate the Greatシリーズ(YL1.2から1.5, 1,500から2,500語、約20巻) 邦訳:「ぼくは名探偵」で知られる古典的作品。プロの探偵を気取るNate少年、名犬Sludgeの助力を得て、難(?)事件を次々に解決します。読み飛ばしをできるか、試されます。
ここまで来れば、週末に図書館を訪ね、GRを中心に借りた本だけでも、多読を継続できます。
- GRなら、OBW2 (YL2.6), CER2 (YL2.2.6)からMMR3 (YL2.8)へと進めます。
が、そろそろ、語彙、文法制限のない、Native(小学校低学年)向けの児童書にも手を出してみましょう。大人にも評判のよいシリーズは、
・ Rainbow Magicシリーズ(YL2.0, 4,000語、35巻まで) 2人の少女が、妖精を助けて悪党ジャックフロストと対決します。7冊毎にテーマを持った妖精達が登場する小シリーズで、英国では小学生低学年に、豊田高専では運動部の猛者に大人気のシリーズです。良質なイラストとお決まりのパターンに助けられ、どんどん読めます。・ Magic Tree Houseシリーズ(YL2.5, 4,800から6,000語、28巻まで) JackとAnnyの兄妹が、魔法のTree Houseに乗り時空を超えて冒険に出かけます。本の虫Jackと想像力豊かな行動派Annyの組合せが絶妙で、子供から大人まで楽しめます。4冊毎に謎解きをする小シリーズになっており、順番に読むのがよいと思います。・ A to Z Mysteriesシリーズ(YL3.0, 6,500から10,000語、全26巻中16巻まであり) 3人組が協力して事件を解決します。話の展開が速く、一気に読めてしまうのはミステリの特長?後の巻で、前巻のネタバレになっているところもあるので、アルファベット順に読むのがよい。
- 他に、レベル2から3の児童書:The Zack files 、Marvin Redpost 、Baby-Sitters Little Sisterで、気に入ったシリーズを飽きるまで読んでみましょう。
- Roald Dahlの作品群(YL2.0: The Enormous Crocodile, YL3.0: The Magic Finger; The Giraff and the Perry and Me; Fantastic Mr. Fox)児童小説家として有名なDahlの作品も、どうぞ。
昨年7月に完結したHarry Potter。1から7巻を読み通すとシリーズだけで100万語を超えます。ただし、児童小説なのに(翻訳するクセが抜けていないと)読み通すことは結構厳しいです。特別の思い入れがなければ、慌てて読むのは止めときましょう。Harry Potter(YL6.0から7.0)を読み始めるのは、(よりやさしい)英文読書を300万語程度読んでからで十分。Darren Shan, Deltora Quest, Rowan等YL5.0から6.0の児童書を楽しめれば、自然に手元にやってきます。
文責: 蒲郡市立図書館英文多読相談員(豊田高専 電気・電子システム工学科) 西澤 一
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