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蒲郡のシンボル・竹島に鎮座する八百富神社は、平安時代の養和元年(1181)の創建で、蒲郡開発の祖・藤原俊成が
竹生島から勧請したという言い伝えがあります。
約300年前の宝永4年(1707)の序をもつ『三河雀(みかわすずめ)』という地誌には、「日本七天女」として、
と並べて「三州竹島」が挙げられています。
他の地誌にも「風景佳也」と記されており、竹島は古くから名所として近隣に知られていたようです。
享保20年(1735)に「八百富神」の御神号を賜っています。
巳年は、八百富神社大祭の年で、御開帳が行われます。
この行事は昔から催されており、江戸時代末期の弘化二年(1845)の時の様子を元に書かれたと考えられる
「竹島参詣滑稽鄙栗毛(たけしまさんけいこっけいひなくりげ)」という書物が、神社に伝わっています。
どこかで見聞きしたようなタイトル……と思われた方。
そうです、この物語は十返舎一九の『東海道中膝栗毛』のパロディです。
登場人物も、本家の弥次さん喜多さん二人の腹違いの息子の茂治(もじ)さん・仁多(にた)さんが竹島の御開帳に
はるばるやってきたという設定で、タイトルに「滑稽」とあるように、面白おかしい参詣物語となっています。
御開帳の期間中には、弁財天開扉拝観が行われるそうです。
市文化財に指定されている「木造弁財天像」を間近で拝める絶好の機会ですので、御開帳の折にはぜひご覧ください。
竹島参詣滑稽鄙栗毛(たけしまさんけいこっけいひなくりげ) 八百富神社・蔵
ダジャレもまじえられた楽しい参詣物語です。ところどころに色つきの挿絵もあります。