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電車より亡夫の生家が遠く見ゆ人住む気配に窓開かれて 高橋典子(三重県桑名市)
春待ちて種芋植える母の背小さく見えて逢わずに帰る 片原きの枝(愛知県岡崎市)
ベランダより見慣れし空がまた一つ建つマンションに切り取られゆく 藤井千代(愛知県岡崎市)
地球上四基地局の電波待つわれは母なる静止衛星 松島良江(静岡県磐田市)
小包を届けくれたる配達員けふの青空ほがらかに言ふ 梶口美都子(愛知県名古屋市)
三十パーセントオフのチワワが店先のケージで通りを眺めてをりぬ 小藤和子(東京都江東区)
遠花火一つ消え入るその先に不安が闇に溶け入りてゆく 渡辺和彦(静岡県駿東郡)
※投稿された全作品を掲載した詠草集を販売しています(1部300円)。
大賞から選者賞受賞作品には、選者による選評が掲載されています。ご希望の方は事務局までご連絡ください。
※ここにご紹介した優秀作品は、平成26年度 春の文協まつりでも吟詠される予定です。